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はじめに
歴史に興味を持ったのは高校生の時だった.それまでは歴史を大の苦手にしていた.典型的な理系である私が大学センター試験で日本史を選択するに至ったのは,通学時間の読書がきっかけだった.通学は大阪から京都まで電車とバスを乗り継ぎ,片道一時間.歴史の勉強を兼ねて,歴史小説を読み始めた.

父の勧めもあって最初に読んだのは『竜馬が行く』.自由奔放に生きる竜馬に憧れ,面白くむさぼり読んだ.次に読んだのが『国盗り物語』.教科書には出てこない斎藤道三に夢中になった.

歴史小説の面白いところは,それまで断片的に出てきた人物達が,他の歴史小説を読むことでお互いが複雑に絡まり合って関係を結んでいくところだ.教科書でのたった一行の記述が数十冊の本に膨らむ.一つの出来事を様々な視点で解釈することによって描写が変わることにも興味を覚えた.幕府の視点から見た新選組と,新政府の視点から見た新選組では描かれ方が全く違う.英雄と悪党は表裏一体だ.いつの間にか歴史小説の虜になっていた.

通学時間を使って幕末維新,戦国時代に始まり,太平記や平家物語,古代から現代まで様々な歴史小説を読んだ.それだけ歴史小説を読みながら京都の学校に通っていたにも関わらず,京都の史跡めぐりには全く縁がなかった.新選組の本を読みながら壬生行きのバスに乗っていたにも関わらず,壬生の屯所跡には行ったことがなかった.歴史を一番身近に感じるところにいながら,歴史を知る手段は専ら活字だった.今考えると滑稽であるが,当時高校生だった私は史跡巡りという思考には達しなかった.

愛知に住むようになって,行っておけばよかったと思う史跡を関西に数多く残した.しかし,愛知は信長,秀吉家康の郷.戦国時代の古戦場も数多く残る.この土地を離れることになった時に後悔しないためにも,歴史を感じながらあちこちの史跡を歩きたい.そして,その楽しさを少しでも多くの人に伝えたい.

同じ場所を歩くにしても,歴史を知っているのと知らないのとでは見るものも感じるものも大きく違う.『歴史の歩き方』では,一人の歴史上の人物にスポットを当てて,史跡を廻りながら歴史を回想したい.これを読んで一人でも多くの人が『その場所に行きたい』と思ってもらえることを願っている. (2004/10/7)

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